さて、それでは「音の大きさ」とはなんでしょうか。簡単に言えば、どれだけたくさんの量の空気を振動させることができるか、ということに他なりません。この音の大きさを一般的に「dB(デシベル)」で表します。実はこれがなかなかやっかいで、さまざまな勘違いの元になっています。音の大きさの違いは次の表を参考にしてください。
120dB | ジェット機の騒音、ドラムの音 |
110dB | 自動車の警笛 |
100dB | 電車が通るときのガード下、ピアノの音 |
90dB | 大声による独唱、騒々しい工場の中 |
80dB | 地下鉄の車内、電車の中 |
70dB | 電話のベル・騒々しい街頭、騒々しい事務所の中 |
60dB | 静かな乗用車、普通の会話 |
50dB | 静かな事務所 |
40dB | 図書館や静かな住宅地の昼間、コオロギの鳴き声 |
30dB | 郊外の深夜、ささやき声 |
20dB | 木の葉のふれ合う音、置時計の秒針の音 |
10dB | 蝶の羽ばたき |
人間のもつさまざまな感覚器の中で、聴覚が最も大きなエネルギーの差を感じることができるそうです。そう、例えば床の上に落ちる一本の針の音から、ジャンボジェット機のエンジンの音まで実際に処理できているでしょう。これは数字で言えば100dB以上、つまり、100万倍以上の差となります。また、人間が生まれる前、また、亡くなるとき、最初から最後まで絶え間なく作動している器官でもあるそうです。人間が亡くなる直前の意識がないように見える状態でも、声は聞こえているのだとか。
また、人間の耳には奇妙な癖があることもよく知られています。有名なもののひとつに「カクテルパーティー効果」というものがあります。それは、パーティーなどで回りがざわついていても、聞きたい人の声や物音を聞き分けるというものです。実際にかなり騒がしいところでも人との会話は成立します。よく「耳をすます」といいますが、そういう状態だと考えてください。実際に、騒がしいところで耳をすまし音を聞いてみると、騒がしい中にも色々な音が聞き分けられるのにびっくりすることと思います。できれば、同時に録音機などでその状況を録音してみてください。家に持ち帰って録音されたものを聞いたらさらに驚くことと思います。いわゆる雑音とざわめきばかりで何が起こっているのかまったくわかりません。このように人間が聞きたい音だけを選び取って聞くことができるのは、「耳からの情報を脳が処理する時に特定の音源の音を選別処理をする能力」によるものです。つまり心理レベルの認識によって聞きたい音を選び取ることができるらしいのです。いやな音、耳障りな音をことさら大きく聞き取ってしまうこともよくあることなのです。