遮音性能ってなんだろう?

まず、次の図を見てください。

図の右側に「D-50」などと書かれています。これがいわゆる防音工事における「遮音等級」です。例えば「D-60」の性能とは何かというと、120Hzで大体45dB以上の遮音、250Hzで53dBくらい、500Hzで60dB、1000Hzで65dB、2000Hzで70dB。これ以上の遮音性能を持っていること、となります。上の図の500Hzのところに赤い線がひかれています。つまり500Hzの遮音性能で等級が決められているということです。この曲線はなんとなくこうなっている訳ではもちろんなく、建築学会がさまざまな実験をしたうえで決められたものです。

D-50の性能がどれくらいかというと、コンクリートの壁でいえばちょうど150mm程度の厚さがそれに該当します。

こんな感じの図をよく目にすると思います。ここで注意するべきは、全体的に50dB遮音されるのではなく、500Hzの帯域で50dB遮音されているのだということをはっきりさせておく必要があるということです。

遮音性能には質量則というものがあって、重ければ重いほど遮音性能が上がります。が、例えば、上の図のコンクリートの厚さが300mm(150mmの2倍)になると防音性能が2倍になるかというとそうではありません。300mmの場合の防音性能はたった6dBしか増えません。つまり、56dB程度にしかならないのです。それでは、D-80のレベルまで遮音したい場合、コンクリート壁一枚で処理したらいったいどういうことになると思いますか?なんと5000mm近く必要となる計算となります。5mですよ。5m。このあたりに遮音の難しさがあるのだと思います。

また、「TLd-60」と「Dr-60」という2種類の表現があることが、遮音性能をさらに複雑にしています。「TLd」とは「音響透過損失」と言い「遮音材そのものの遮音性能データ」です。一方「Dr」は「室間音圧レベル差」と言い「音源室と測定室の間の音圧のレベル差」を表しています。「Dr」値の場合、床や天井からの音の回りこみなども影響してきます。通常「Dr」値の方が当然のことながらレベル差が小さくなります。

ご質問の多い内容を漫画にして解りやすくまとめました。

こちらもあわせてご覧ください。