「防音工事ってよく聞くけれど、実際のところ何をするの?」「Dr値って何?」「マンションでも防音室は作れるの?」
このページでは、防音工事をご検討中の方が知っておくと役立つ基礎知識をまとめました。
専門用語はできるだけ易しく解説しています。

1. 音ってそもそも何だろう?

音とは、空気の振動です。誰かがピアノを弾けば、ハンマーが弦を叩いて弦が振動し、その振動が空気を伝わって私たちの耳に届きます。

音の伝わり方には大きく2種類あります。

🌬 空気伝搬音(くうきでんぱんおん)

声、テレビの音、楽器の音など、空気を伝わって耳に届く音。窓やドアの隙間、薄い壁から漏れていきます。

🥁 固体伝搬音(こたいでんぱんおん)

ドラムを叩いた振動、ピアノの低音、足音などが、床や壁などの「固体」を伝わって響く音。重く密度のあるものを揺らすため、空気伝搬音よりも厄介で、対策にはコストがかかります。

防音工事では、この2種類の音をそれぞれ別の方法で抑え込む必要があります。「ピアノは音が漏れるけれど、ドラムはもっと漏れる」のは、ドラムが固体伝搬音を強く発するからです。

2. 音の大きさの目安(dB)

音の大きさはデシベル(dB)という単位で表します。数値が大きいほど大きな音です。普段の生活でよく出会う音を一覧にしてみました。

音圧レベル 身近な音の例
120 dB飛行機のエンジン近く
110 dBライブハウス、ヘリコプター
100 dB電車のガード下、ピアノ(プロ演奏)
90 dBドラム、カラオケ、大型犬の鳴き声
80 dBピアノ(フォルテ)、地下鉄車内
70 dBテレビ(大音量)、セミの鳴き声
60 dB普通の会話
50 dB静かな事務所
40 dB図書館、深夜の住宅地
30 dBささやき声

💡 ポイント

「ピアノは100dBくらい」「外の暗騒音は40dBくらい」と覚えておくと、必要な遮音性能を考えるのがぐっと分かりやすくなります。
例えば、100dBのピアノを外に漏らさず、外気と同程度(40dB)まで下げたいなら、60dB分の遮音性能が必要、というわけです。

3. 「遮音」と「吸音」の違い

防音工事の世界でよく混同されるのが、この「遮音」と「吸音」です。実は全く別のことを指しています。

遮音 吸音
目的 音を「外に漏らさない」「中に入れない」 音の反響を「室内で吸収する」
使う素材 石膏ボード、コンクリート、鉛など
重く密度のあるもの
グラスウール、ロックウール、フェルトなど
軽くて多孔質なもの
効果 音が外に出ない/外の音が入らない 室内のエコーや響きが減る

大切なのは、「遮音だけ」でも「吸音だけ」でもダメということです。遮音だけ完璧にしても、室内の音がぐわんぐわん響く部屋では、楽器を演奏しても気持ちよくありません。逆に、吸音材だけ貼っても外への音漏れは止まりません。

あいはうすでは、両方をバランスよく組み合わせた設計を心がけています。

4. 遮音性能を表すDr値とは

Dr値(ディーアールち)とは、壁や床がどのくらい音を低減できるかを示す指標です。「Dr-50」であれば、おおよそ50dBの音を減衰させる性能を持っているという意味になります。

🔢 計算してみましょう

例えば、ピアノの音は約80〜100dB。これを「Dr-50」の防音室で演奏すると、外に漏れる音は……
100 − 50 = 50 dB
となり、静かな事務所くらいのレベルまで下がります。隣の部屋ではかすかに聞こえる程度です。

ただし、Dr値はあくまで「目安」です。実際の音漏れは、窓・ドア・換気口など弱点となる部分に大きく左右されます。壁だけDr-65でも、ドアの隙間が1mmあれば、そこから音は容赦なく漏れていきます。

当社では、壁・床・天井だけでなく、開口部や設備まで含めた総合的な性能設計を行っています。

5. 防音工事の3つの原則

防音工事のポイントを大きく分けると、たった3つしかありません。逆に言えば、この3つを丁寧にやることが防音工事の本質です。

1

重さ(質量則)

壁が重いほど音は通りにくくなります。石膏ボードを1枚から数枚重ねるのが基本。「石膏ボードを10枚重ねて貼る」ような工事もあり、これだけで通常工事の10倍のコストになります。

2

隙間をなくす

音は隙間から漏れます。ドアのパッキン、コンセント周り、換気口など、ほんのわずかな隙間でも音漏れの原因になります。気密の徹底が遮音性能を決定づけます。

3

分離(縁切り)

壁と床、壁と天井を物理的に切り離す技術。振動を伝えないために、ゴムや防振材を挟みます。特にドラム室や本格スタジオでは欠かせない技術です。

「防音工事はなぜ高いのですか?」とよく聞かれますが、答えはここにあります。普通の壁の何倍もの材料を使い、隙間を一つひとつ潰し、構造的に分離する。普通の内装工事の数倍〜10倍の手間と材料がかかるためです。

6. 用途別・必要な遮音性能

「自分の用途では、どのくらいの遮音性能が必要なの?」というご質問をよくいただきます。あいはうすが20年以上の施工経験から導き出した目安は以下のとおりです。

用途 推奨遮音等級 備考
電子ピアノ・ヘッドホン使用 Dr-30〜 近所への配慮なら最低限
アップライトピアノ Dr-35〜45 昼間の練習なら十分
グランドピアノ・本格練習 Dr-50〜55 夜間練習も視野なら必須
管楽器・声楽 Dr-45〜55 音域に応じて調整
ドラム・バンド練習 Dr-55〜65 固体伝搬音対策が要
プロスタジオ・商用 Dr-60〜65以上 録音可能レベル

⚠ 大手メーカーの既製品防音室について

大手楽器メーカーが販売しているプレファブ式のピアノ防音室は、性能がDr-30〜40程度のものが大半です。当社の経験では、その性能でピアノの練習を心ゆくまで楽しむのは難しいケースが多く、本気で取り組むならDr-55以上をおすすめします
もちろん「夜間は弾かない」など使い方を限定すれば、もっと低い性能でも問題ありません。ご予算と用途のバランスでご相談しましょう。

7. マンションと戸建ての違い

「マンションでも防音室は作れますか?」という質問もよくいただきます。答えは「はい、可能です」。ただし、戸建てとは異なる注意点があります。

マンションの場合

  • RC造(コンクリート)なので、もともとの遮音性能は比較的高い
  • 下階・隣戸への振動伝達(固体伝搬音)に細心の注意が必要
  • 管理規約により工事内容に制限がある場合がある(事前確認必須)
  • 共用部の搬入経路を考慮した設計が必要

戸建ての場合

  • 木造の場合は壁自体の遮音性能が低いため、大規模な補強が必要
  • 自由度が高く、本格的なスタジオも構築可能
  • 窓からの音漏れ対策(二重サッシなど)が重要
  • 近隣との距離があるため、戸建てのほうが遮音性能を多少低く抑えられる場合も

📋 マンションでドラム室を作った実例

あいはうすではマンション内に夜間でもドラムを叩ける部屋を施工した実績があります。もちろん相応の費用と工事規模になりますが、「マンションだから諦める」必要はありません。まずはご相談ください。

8. 遮音だけでは終わらない「音響設計」

当社が最も大切にしているのが、この音響設計(調音)です。

遮音工事だけを完璧にやると、室内は不自然なくらい響かない「デッドな空間」になりがちです。会話も楽器も、なんだか味気ない音になってしまいます。逆に響きすぎる部屋では、音がぐわんぐわんと混ざり合って楽器の練習どころではありません。

楽器の練習室やオーディオルームで本当に大切なのは、「その用途にちょうどよい響きをデザインする」こと。これを音響設計、または調音と呼びます。

タイプ 特徴 向いている用途
デッド 反響が少なく、一音一音がはっきりする 録音スタジオ、配信、細かい練習
ライブ 自然な反響があり、演奏が楽しく響く 趣味の演奏、サロン、ピアノ室
ニュートラル 適度な響き、汎用性が高い ホームシアター、リスニングルーム

あいはうす代表の徳永は、自身が楽器を演奏する音楽家でもあり、10000枚を超えるレコード収集家でもあるオーディオマニアです。測定機械では判断しきれない部分を、自分の耳で確かめながら詰めていくこと。これが、他社では真似できない当社の強みです。

🎵 「楽器が弾ける大工さん」だからこそ

施工事例として、お客様の自慢のリスニングルームを内覧させていただけることもあります。お気軽にご相談ください。

9. 失敗しないためのチェックポイント

防音工事は、一度作ったらやり直しがきわめて難しい工事です。後から「もっと遮音性能が欲しかった」「響きすぎる」と気づいても、追加工事は大規模になります。

業者を選ぶときに、ぜひ確認していただきたいポイントを挙げます。

用途を細かくヒアリングしてくれるか

「何の楽器を、いつ、どのくらいの音量で」をきちんと聞いてくれる業者を選びましょう。一律のプランを押し付けてくる業者は要注意です。

遮音だけでなく音響も考えてくれるか

遮音性能の話ばかりで、室内の響きについて触れない業者は、半分しか仕事をしていません。両方を提案できる業者を選びましょう。

施工実績の写真や測定結果を見せてくれるか

口だけで「Dr-60出ます」と言う業者ではなく、実際の事例や測定データを示せる業者を選びましょう。

設計者と施工者が一致しているか

設計と施工が別会社だと、現場で細かい調整がきかないことがあります。当社のように設計者自身が大工として現場に立つ体制が理想です。

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料金目安

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漫画でわかる防音工事

難しい話が苦手な方は、漫画で楽しく学べる「あいはうす防音研究所」をどうぞ。

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