私が船を買うまで。第二十五話

プレジャーボート

私が船を買うまで。第二十五話 大団円

久しぶりのビックワンに大喜びのゆうさんと、100Kmで突っ込んできたことをものともしない私の弟はまさによいコンビだろう。先ほども書いたが男はいつまでたっても子供のままだ。私は幼いころ

「大きくなったら、大人になるんだなあ。大人になるってどんな感じかなあ。」

とぼんやり考えていた。50を過ぎた今言えることは6歳ぐらいのころと何にも変わっていないということと、体の節々が痛むようになったということぐらいだろうか。

私が中学生のころはいわゆるヤンキーブームで、漫画などでも「魁、男塾」とか「ヤンキー烈風隊」とか、まあ、その手のお話がたくさん載っていてたいへん人気があった。私も友人たちもそういった漫画を読んで大いに盛り上がったものである。あるとき友人の一人がこう言っていた。

「おれ、大人になったらイレズミをいれるんよ。」
「ええ?やめとき。やめとき。やくざやんか。」
「上等やん。かっこいいやろ。」

そいつは昼休みになるとノートにどんな刺青をいれるか一生懸命書いていたが彼のノートには大きな文字で「刺身」とかかれていたのを私は見逃さなかった。彼とは中学以来会っていないが、いまはただ彼の背中に刺身が乗っていないことを祈るばかりだ。これは単なる一例にすぎない。かように男の子の世界には馬鹿があふれているのである。

さて、ゆうさんにすっかり毒抜きされた私たちは今日の釣りをここで打ち切ることとした。桟橋にもどって計量したところ一番大きな3匹で22ポンド超。ひょっとしたら、アメリカで釣った数日間で日本にいたときに釣ったより多くバスをつったかもしれない。アメリカのバスフィッシングの楽しさと奥深さを堪能した夢のような日々であった。

家に帰りつくと一通のメールが届いていた。中古船を探してもらっていた人からだ。どうやらよい船が見つかったらしい。写真で見たところなかなかのものであった。取り置き期間は1週間。そうとなればこんなところでうだうだしてはいられない。私は予定を早々に切り上げ日本に戻ることにしたのである。

つづく